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may be May

頭の中のごみそうじです

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Summer will

埋立地を埋めるビル
ビル

夥しい街

数ある公園のどこにも痕跡はなく
こどもたちは屈託なくくもりなく
笑う
笑っている

あなたもとうにわすれてしまっただろう
車が過ぎりはしないかと
坂道 だまって目を凝らす
少年がそこらに居ないかと

あなたが打ち続けた点は
彼女が短い線につないだ
ようやく
わずかに
見えた
ひとりで
わたしはそれを聞いた

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サムシング・ドラスティック

長いエスカレーターに乗り、外に出ると彼はやっぱりタリーズに向かい、甘い飲み物を買いました。そしてホットを選んだ私を怪訝な目で見ました。8日遅れて流れ出した痛みはずいぶん鈍く重く私を煩わせていました。ビルの屋上、憩いの場の隙間に植えられた稲。それを囲うロープにもたれ、彼はBtoCにつきまとう理不尽さを訥々と語り続けていました。私はまた、あの気分がこみあげてくるのを感じました。ことばがなんにも出てこなくなり、目を見ることができません。私は無駄口を叩かずに済むこの状態がきらいではないのですが、相手にとってはもちろんそうではないでしょう。夕食の時間に待ち合わせたものの、昼間、受け付けない場所で受け付けないものを食べるはめになった私はただでさえ胃がくたびれていました。彼も強いませんでした。JRの改札で、私は三宮までの切符を通しました。ほかにどうしようもないのです。それでも後悔が全身を苛んでいました。

あなたのことばを借りましょう、あなたの中にわたしはいない、わたしはそれを知っています。
あなたはすでに気持ちを東京に置いている、春に遣っている。
わたしはきっと終るに足る絶望を、さがしているだけなのです。
これがそれに足りないことを理解していながら、すがろうとしているだけなのです。
惰性です。あなたにはわたしを買いかぶる余地がなく、それも丁度よいのでしょう。

データを消すのと同じ手軽さで終ってしまえたら話が早いのに、そうはいきません。
私は生きて、老いて、あなたが唾棄するクレーマーのように、有害でしかなくなるのでしょう。
わかってください。誰に必要とされたいわけでもないのです。
はやく死にたい。

かよわない

私は電気を点けることもせず、敷いたままの蒲団のうえに倒れました。電池の減ったiPhoneを開き、バスを降りてから十分の間に何の着信もないことを確かめました。震えないそれを充電器につなぎ、いとおしくて吐きそうな男の名前をつぶやきました。自分でもおどろくほどに声に力がありませんでした。

 
彼は用心深すぎるくらいに周到で、そのくせ詰めが甘いのでした。どちらの部屋にも切らしてから、彼は準備をしなくなりました。「万が一」をおそれはじめたのだと、私は途中で察しました。
 手遅れかもしれないよ。私はやや意地の悪い気持ちで思います。実際、アプリのカレンダーに最後に記録したしるしは着実に遠ざかっていました。能天気なメッセージはあらわれなくなり、受診するように、と強めの薦めが強調されて、しばらく経ちます。


杞憂かもしれません。僥倖かもしれません。あるいは最悪の展開かも。
常識を持ち、将来を得たばかりの彼がどう言うか、それはもちろん決まっています。
考えることは億劫で、考えないことは困難なので、はっきりする前にこと切れることがかなえばいちばんいいのです。
頸動脈をみずから掻き切るという方法は、たとえばあの美しい小説の男のように、虚構の中のものだと思っていました。しかし、あの有名な遺書を書いたアスリートが、そうして死んだのを最近になって知りました。


 私には当然できないでしょう。凡人が人並みの生活をするには人並みの努力が必要に決まっています。どうやら私にはそれがわかっていなかったようです。無能なまま無為に歳をとりました。Better late than never、果たしてほんとうにそうでしょうか。安吾はきっときっぱりとノーと言うでしょう。


うつくしくなりたいと思ったことはありません。ただ人並みにあこがれてきました。
私は私であることを恥じつづけてきました。
私の苦はそれに尽きます。私であることを肯定されても困ります。
やすらかに断てるように祈ってください。
私は誰も恨んでいません。恨むほど誰にもコミットすることができなかったのです。
血が通っていないようだと、ずいぶんな人に言われました。おそらくそれは正しいので
しょう。


いつのまにか頬を生理的な涙がつたっていました。わずかに残った人間らしい血がそこからすべて流れ出て行ってしまうような気がしました。

スカンジナビア

死ぬ値打ちのあることについて考えている。
死ぬ値打ちのあることについて考えている。

目覚め、受信はゼミMLのみ、水を撒く音、TL、802、サザンの復活、くもり、オフィスのダウンロード、虚偽表示のレジュメ、炊飯、シャワー、この剃刀では何も切れない。この階からでは気をうしなえない。

300分の授業と、そのあとの補講、そのあとの集まり。
借りた本と脱いだ服。
真夏日。

バケツいっぱいの絵具をひっかぶれば?
湖の反対側から、鳥になって飛んでみれば?

「キャノンの一番安いプリンタ」。
奨学金の話をやめないクラスメイト。
坂の下の家の家賃。

君に会いたい?果たして?本当に?
未来は頷くに違いない。違いない。



JUST UGLY

 正直向こうが本気とは思えないし、きみがそれをわからないとも思えない。理解できない。
 虫の居所が悪かったぼくは歯を磨きながらそうぼやいた。
 彼女はまるでひるまなかった。
 私、ファーストフードは好きじゃないんだけど、それでも年に一、二回はマクドナルドのポテトがむしょうに食べたくなるの。それとおんなじことじゃない?
 彼女は口紅を塗り終り、口元を引き結んで色をなじませ、心なしかうれしそうに、鍵を手にして出ていった。
 化粧、へただし、似合わないからやめたらと、けっきょくいつも言いそこねる。

 
 彼女も対等な友達もいない、メールマガジンも登録しない、それでもぼくのiPhoneは沈黙し続けることはない。天気予報を確認しようとロックを外したら、ちょうど鳴った。ユウキだ。ぼくはすぐに既読にしてしまわないように、こわごわLINEを開く。不快な内容でないことを確認して、トークのページに移る。今日発売の漫画の新刊を買ったかどうか、買ったら貸してくれ、そのメッセージにくまのスタンプが添えられている。買ったよ、わかったまた今度持ってくね、笑顔の顔文字。送信して、既読になるのを確認する前に素早くLINEを閉じ、ぼくは方向を変え、本屋に向かう。ユウキは明後日バイトが休みだから、明日の夜に来いと言われる可能性が高い。それまでに読んで感想を言えるようにしておかなければ。

 ユウキは悪いやつではない。たぶん、ぼくがこんなふうに怯えているとは想像していない。ただぼくがなにも言わないから、ぼくは気にしない性質なのだろうと踏んでそれにあやかっているだけだ。一度くらいおまえが来いよとおどけてみせても彼は機嫌をそこねないだろうし、冷たく突っぱねれば反省してすなおに謝るだろう。わかっている。ユウキは悪いやつではない。ただどうしてもぼくにはそういうことはできない。


 誰かの人生において役割が欲しい、できれば自然発生的に、運よく偶然、あてがわれたい。流れにまかせてそこにたどりつきたい。選ばれたい。選ばれたい。選ばれたい。
 ぼくらはたしかに被害者だ。相手を責めるに足るクリーンハンドを必死で保ち、そこに居座り続ける愚者だ。
 醜い。でも自ら断てるわけがない。関係も、生活も、人生も。
 だから誰もに見限られる。彼女は早晩捨てられるし、ユウキもぼくに飽きるだろう。
 それでもぼくらはきっとただ傷をなめあっているだけなのだ。

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