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may be May

頭の中のごみそうじです

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副作用

 頭がずきずきし、胸がむかむかする。起き上がれなかったせいで背骨が痛い。

 三日後あたりに軽い頭痛と嘔吐感があるかもしれませんが、軽いし、三日ほどでおさまりますので。一昨日、作業のような問答を終えた初老のドクターはきっちり七日分のカプセルの入った袋を差し出した。
 「原因は何だと思いますか。」
 用意してこないと言葉に詰まる問いにも私の口はとっさに体をなす答えを用意しようとする、そしてそのそれっぽいフレーズをそのままメモするドクター、何がわかる、偽ってどうする、相手を自分を私はなじる、内心で。

 
 眠るのがもったいない、といつか夜中に笑った彼は昼間もずっと眠っているようになった。
 かなしくなって床に転がった。
 帰る。帰る?うん。帰る?帰る。
 私はひとりで階段を下り、廊下を突っ切って、小雨の大通りへ出る。
 玄関でキスをしなくなったことが、改札を通ってもわだかまる。

 「死にたいと思いますか。」
 ここへ来て、ノーと答える人がいるのか。

 
 課題に行き詰っている、という友達の相談に乗った。私がアドバイスする形になった。
 何度かそういうことがあった。
 何かの折に、お互い一浪で同い年だとわかり、彼女はほっとしたと言った。
 「年下に負けてるわけじゃなかった。」
 「教えられるばかりって苦しいじゃない。」  
 後者は私に向けられた言葉ではなかった。それでも私の顔はこわばった。

 ベランダでスミノフを開ける。
 怠惰な私、傲慢な私、醜い、重い、わずらわしい私。
 誰かと一緒に泣きたい。
 生きていてごめんなさい。
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風の由来

君についてはもうゆるそう
わたしのことをもうゆるそう

正午を過ぎて目を閉じた
きょうも繰り返した
繰り返した、きょうを

わたしの塗った青い髪
あの子の書いた青い歌

幼いままの
屈託のない笑顔
奥行きのないすがた

遠くないその時が来たら
その手に縊られるゆめの中で

きょうも東側の窓の外
水面はきらきらと凪いで
南へ
君が眠っているだろう街へ

もくようび

 なんでもいいんだ、たいせつなのは曝すことだから。叩いて矯めて潰して揃えて消して、その過程に貪欲にならないといけない。なんでもいいんだ、それがかなう環境なら。どこでもいい。ここじゃなくていい。
 もえるごみを出し終わり、もらいものの黄色いマグカップ、ペパーミントティー。ティファールの電気ポットで、お湯は焦げそうなほど熱く煮える。閉め切った窓越し、こどもたちの声。開けるとさすがに騒々しい。枕を縦にして壁際に置き、もたれかかる。濃い青のハードカバー。ホットケーキを食べにいこうか。私は自分がそうしないのを知っている。
 消えてしまいたいなあ。
 それは簡便だけれど正しくない。しっくりくる語彙を求めてページを手繰る、手繰る。
 ドッジボールがしたい。仮面をつけて自己紹介もせずにいい大人が寄り集まって。バドミントンでもテニスでもいい。男女もごちゃごちゃでいい、手加減しないでいいならなんでも。
 ドイツに住みたいって言ったり、キョウトに帰りたいって言ったり、そういうの、真に受けないでくれたらいい。
 きょうはまっさらな一日で、昨日とも明日とも無関係で、それで何が困るのだろう。
 3階から飛び降りても知れているけれど(いま読み終わった小説の女の子は4階からでも助かった)、シンクの下にしまってある包丁は私の腕をざっくり切るには十分すぎる。
 生きて、いるんですね、あなたもわたしも。いま、このとき。死にたい。まさか。でも、死にたい。
 死ぬ前にしたいこと?
 もう、ないよ。もう叶ってしまったし、叶っていない分はもう永遠にうしなわれてしまった。
 ない。
 ない。
 何もない。
 思考が中学生だ。
 たぶんそのあたりで成長し損ねたままなんだろう。
 知らない。
 耐えがたい。
 Coccoを聞く。

無価値、無意味、無味、無理

眠って起きればまたくだらないことにかまけられるだろう
そうなる前に私は私を粉々に潰してしまいたい
設定したリミットを過ぎても行動を起こさないでいる
十時が来る
二十四歳になってしまう
ならずにあの冷たい人に
傷を残していきたいのに

あの部屋とそこにある服の匂いが
何度ゆすいでも舌にのこる味が
ベイリーズの色が
退屈な話題が
そばかすが

きのう聞いた歌声がもう思い出せない
何事もなかったように生きていってくれればいい
この粗末な器には過ぎたものを注ぎ続けた
あなたに非はないとどうか誰かが説いてほしい
愛していたよとっくに

手放さないこと

放っておきなさい
この男はどうせ
蜂の巣にされる夢でも見ている
あなたもわたしも現れない
まっすぐ伸びるハイウェイ
視界がゆがむ灼熱
助手席には頭の弱いブロンド
厄介な何かに追われている
様になるくたばりかたのシミュレーション

放っておきなさい
相応の家と
ガレージに見合う車
望み叶えたもののこと
忘れたくなるだけ
あなたも夢を見つづけなさい
大脳皮質の言いなりにならず
手放さないこと




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