ロックバンドのささくれた音が
どうにも耳に馴染まなくなって
優しい曲達を五枚千円で借りた
酸素の薄さに対して二杯目のカシスオレンジは濃過ぎて
迷惑な場所で倒れた私にペットボトルの水を差し出した
あの人の唄も聞きたくなった、だけど置いていなかった
嘘
本当はレジを過ぎてから思った
でもたぶん確かめても同じだし
聞きたくなったのは本当だから
アコースティックなんてと
口で云うほど元々合わない訳じゃなかった
駅前で弾く男女を一瞥しては顔をしかめる
あなたがまたばかにしそうな気がしただけ
耳も頭もおかしくなりそうなのよりずっと好い
嘘かなこれも
誰を、何を憚っての韜晦なのか
可笑しくて泣くに泣けやしない
音楽が堪らなく嫌いなのは
間違いないのかもしれない
ギターを弾いて、目の前で
あなたにだけは言い続ける
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