図書館でまめに会釈してくれる笑顔より
一瞥もせず私を追い越す時の横顔が好き
彼は普段卑屈なくらいに愛想が好くて
従順な恋人に対しては横柄に振舞う、
とてもくだらない男で
それに自分で辟易していそうで
彼をクズだなって笑うまわりの言いようを
浅い、と軽蔑しているように見えて
私のことも見下しているのを
隠すのが下手だから
この、発酵しそうな掃きだめのなかで
唯一友達になれそうな気がした
彼は頭は悪くないし
怠惰でもないけど
近道を疑うあまり時間切れになる節があって
いつも結果を逃してきた
私は表彰台から降りて
読まれなかった彼の順位を教えてあげた
彼が傷ついた顔をしたから
私は少し残念だった
貰った賞状の数以外なら
彼は私に一切
引け目の感じようがないのに
私達はイーブンに
馬鹿にし合える素地があるのに
彼にも私は不要みたいだった
誰にも私は不要みたいだった
相変わらず