may be May

頭の中のごみそうじです

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王子は名前もないころ
私にすべてをくれていった

笑わないほうがきみは自然
だった

ふたりはなんでも丁度よくて
彼はひとつの理由で片付けた
私にそれは心地よかった
春を区切る日
正午から針が振れるときが
いまもなにより愛おしい瞬間

彼は
あの子とは似ても似つかない
婚約者を待っている
板についた好印象と
そつのないスーツ
見ていられないととのいかた

置いて行って欲しかった
そういうふうに愛したかった

あの子ごと
きみを連れ出すんだった
ただの闇に
ひとの中に

光と子ども

ビルの合間にそびえる崖
カトリックの古びた教会
淡いステンドグラス越し
コンクリートの狭い園庭

コールタール色の壁
こぼれるピンクとライトグリーン
最西端でもおなじだった
昼間の光が部屋に差し込み
子どもたちの声がやまない
あなたの匂いがしないだけ

望むものはもうないわ
サンタルチアを聞きながら
祈ることばに迷わないから

サタン・チェア

あの日
左側の椅子で
彼が願った中身を
私は祈る

彼女の部屋に残されている
それが頼みの綱なんでしょう？
かなうといい
そう思う

ごめんねさっさと死ねなくって

ハイタイド・トリート

ヒールは9センチ
指もからめない

「ここへはもう
来ないほうがいい」
言えずに
掻き回す
左手で
わやくちゃに

大丈夫なにも変わってない
そう笑ってあげるには
私が
随分

バカンス

素足で歩く板張りのベランダ
寄ってきたハクチョウに赤い傘差して
チョコレート・ビアの残りを飲んだ
鈍い空
温い雨

幸せだって
硬い顔で零せばいい
死にたいんだと
屈託なく笑えばいい

でないと私
温度のない鉛を
丸呑みしたような感覚になる

30ユーロ分のゴーダ・チーズ抱えて
準備中のチューリップ畑
ヘッドフォンしてもいい？
「滅茶苦茶であってほしい」
あのキレイな声で聞きたい