頭の中のごみそうじです
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 床なのか、地面なのか、ともかく白い、硬くもやわらかくもない平面の上に私はいます。
 壁はありません。空も見えません。
 無音の中でぱちぱちと火が爆ぜています。
 ほんものの熱さを頬に感じながら、私はひたすら、手元にあるものをそこにくべ続けます。
 無表情です。
 私はひとりです。ただ、それを眺めている子どもがいます。きょとんとした顔で、黙って、私をじっと見ています。
 髪の短い、骨の太い、勝気そうで、臆病そうな、女の子です。
「そこにあると、まるで手にしているように思うし、そしてふさわしいように錯覚してしまうでしょう」
 私はその子の目の前で、次々にものを燃していきます。
 写真。手紙。USB。CD。本。スカート。ブラウス。化粧品。パンプス。iPhone。
「何ひとつ後悔はしていないんだよ。やっぱりなって納得するだけ。わかるでしょう」
 子どもは唇を噛み、すべては灰になり、あとは私の身一つです。
「水の中がいい。そう思うでしょう」
 凪いだ波の音が火を掻き消し、素足を浸してゆきます。
 陽にぬるまった夏の澄んだ淡水です。
 透明の板で隔たった子どもの前で、私はそれに呑まれます。
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